「神経内科」という名前を聞きなれない方も多いかと思います。「心療内科」「精神科」「神経科」などと響きが似ているため混同されることが多いのですが、これらの科は心の病や、心の病によって身体症状がでてくる患者さんをみる診療科です。神経内科はこれらの科とは異なり、脳、脊髄、末梢神経、筋肉などの病気を「内科的に治療する科」です。脳、脊髄の病気を「外科的に治療する科」である脳神経外科とみる病気には共通するものがありますが、手術が必要である場合には、脳神経外科が担当し、そうでない場合は神経内科が診察します。脳神経外科の内科版ととらえ、患者様に分り易いように当院では「脳神経内科」と標榜しています。
高齢化社会を迎え、神経内科医に対する社会的需要は増大していますが、長崎県は神経内科専門医が少なく、とくに長崎市南部地区は都市部にも関わらず絶対的に数が不足しています。このような状況の中で患者さまにご迷惑が掛からないようスムーズな診療を心がけています。診断や治療に苦慮する症例においては、長崎大学病院、県内の神経内科関連病院とも連携をとって診療にあたっています。
今後とも市民の皆さまが安心してかかれる脳神経内科の中核病院を目指していきたいと思います。
手足がしびれる、手足に力が入らない、歩行がしづらい、言葉がうまく話せない、めまいがする、ふらつく、物忘れがある、頭痛がする、手足がふるえる、ひきつき・けいれんが起こる、食べ物をむせる、物が二重に見える、などの症状がみられた場合には脳神経内科の病気である可能性があります。脳神経内科が扱う対象疾患は多岐にわたりますが、例を挙げると、脳卒中、頭痛性疾患、てんかん、アルツハイマー病などの認知症、パーキンソン病、末梢神経障害、筋ジストロフィーなどがあります。
脳神経内科は次の3つを重要視しています。
新病院開院による救急医療体制の拡充、脳神経外科の入院診療の開始により、超急性期脳卒中の診療に積極的に取り組んでいます。脳神経内科は、脳神経外科、救急科、リハビリテーション部とも協力しながら、脳卒中診療に関わっていきたいと思います。病棟では、脳神経外科、リハビリテーション部、看護部との合同カンファレンスを開始し、各部署間で意見交換、情報共有を行い、患者さまの治療方針の決定に役立てています。カンファレンスを通じて透明性を確保し、垣根のない雰囲気づくりを目指しています。そのほか、髄膜炎・脳炎、てんかん重積状態、ギラン・バレー症候群、内科疾患にともなう意識障害など神経救急全般に対応していきます。
神経救急疾患だけではなく神経変性疾患・神経難病などの慢性神経疾患医療も重要分野であると位置づけています。外来では、アルツハイマー病、レビー小体型認知症、パーキンソン病とその類縁疾患などの患者さまが多く来院されます。頭部MRI、脳血流SPECT、MIBG心筋シンチ、物忘れテストなどの検査を積極的に行い診断に役立てています。また筋萎縮性側索硬化症、重症筋無力症、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、筋ジストロフィーなどの神経難病、希少疾患まで幅広く診療をおこなっています。
神経疾患という特性上、ハンディキャップをお持ちの方も多く、患者さまが安心して在宅療養がおくることができるよう全人的な支援が必要と考えています。そのために、地域の病院・開業医の先生方、ケアマネージャー、在宅看護、介護スタッフ、施設職員、行政の方々など関連機関との連携を重要視しています。
疾患名 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | |
脳血管障害 | 278 | 258 | 299 | 234 | |
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内訳 | 脳梗塞・一過性脳虚血発作 | 231 | 205 | 237 | 176 |
脳出血 | 40 | 49 | 53 | 55 | |
くも膜下出血 | 5 | 3 | 7 | 3 | |
その他 | 2 | 1 | 2 | 0 | |
神経変性疾患 | 25 | 36 | 21 | 35 | |
認知症性疾患 | 7 | 5 | 7 | 14 | |
免疫関連中枢性疾患 | 7 | 13 | 8 | 7 | |
末梢神経障害 | 22 | 23 | 23 | 10 | |
筋疾患 | 13 | 6 | 4 | 9 | |
感染性疾患 | 26 | 24 | 13 | 10 | |
てんかん | 54 | 49 | 51 | 44 | |
運動ニューロン疾患 | 17 | 23 | 3 | 9 | |
脊髄・脊椎疾患 | 5 | 3 | 5 | 5 | |
腫瘍性疾患 | 5 | 3 | 7 | 0 | |
内科疾患 | 42 | 30 | 28 | 17 | |
頭部外傷 | 29 | 39 | 49 | 30 | |
その他 | 22 | 16 | 11 | 15 | |
合 計 | 552 | 528 | 529 | 439 |
※全てその年の1/1~12/31で算出
主任診療部長
医長
医長
医師